円卓会議報告
円卓会議「村の記憶、森の継承、緑陰のまちづくりー今、新しいまちをつくることの意味」〜中根・金田台土地区画整理事業をめぐって〜に参加しました。
問題提起で、つくばのまちづくりと雑木林という演題で井口百合香さんは常磐新線（つくばＴＸ）が開通されることで地権者の方が先祖代々受け継いできた農地や屋敷林が開発によって壊されることを新聞の折込チラシで喚起し、１９９４年に行なわれたみどりのまちづくりシンポジウムでの地主さんとの出会いから雑木林で自由に子どもを遊ばせたいという母親のグループが集まり雑木林で遊ぶ会が発足。
雑木林で遊ぶ会からの提案で藤本哲也さんは、雑木林での活動（木登り、ﾊﾞｰﾍﾞｷｭｰ、炭焼きや、キノコ栽培、学校林の見学、下草刈りや植樹）を紹介。最初更地であった台地が１４年経つと立派な林になっていることを写真で説明。雑木林の利用では、何らかの制約が必要。やや閉じた公共空間であること。
世界に誇れる住環境を創るには、という演題でつくばエクスプレス沿線桜中部地区まちづくり協議会会長の酒井泉さんは快適な住まいの条件として緑陰・日照・通風を上げ優れた環境の条件として景観・自然・歴史を上げ米国シカゴ郊外のオークパーク、カリフォルニア、デイビス市のヴィレッジホームズを紹介。つくばに於いても世界のどの町にも負けない景観・自然・歴史があり緑・住・農の空間は１００年経っても崩れないまちを創ることができる。昨今の金融不況で地権者にとってはハイリスク（先行投資、電線の地中化、太陽光発電など）とローリターン（低密度住宅）の苦悩は続く。
中根・金田台の緑住農・緑住街区に期待することという演題で、居住予定者の橋本修さんは普通のサラリーマンの年収（４００〜５００万）で暮らせるものでしょうか？という不安。地域への活動、自然との触れ合いに興味がある一方、義務とか負担には戸惑い。
里山に住む〜つくばの田園居住の可能性という演題で筑波大学教授の安藤邦廣さんは、筑波山周辺の集落でも過疎化が進み空き家が目だっている。里山同様集落も荒れている。集落に人を呼び戻すには、若い力（学生）と地元住民との協働作業（古民家の再生）や音楽家を招いての土蔵でのコンサートなど仕掛けが必要。上境の古民家は地域のシンボル、ここで音楽会を開いてはどうか？
全体討論では、雑木林で遊ぶ会の運営費用はどうなっているか？今回の開発で森が失われることにどう思うか？建て替えを迫られている住民の気持ちはどう汲み取ってもらえるか？イーアスの周辺も開発が進んで雑木林がなくなっていくことへの対策は？オオタカの営巣地を計画道路が通ることについてはどう考える？住宅地に対する高さ制限は？緑住街区と緑住農街区、一般住宅と一般住宅大街区との違いは？など質問がありました。
先祖代々受け継いできた土地を守っていくことの大変さを改めて感じ、市民の地道な力で雑木林や里山の環境を次の世代にバトンタッチできればいいなと思いました。
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