第4回ニュータウン人・縁卓会議
「ニュータウン人・縁卓会議」は開発後40年以上が経過し、まちとして成熟した反面、居住者が高齢化、建物の老朽化など問題が顕在化した全国のニュータウンが、2006年多摩NTで活動する「NPO法人フュージョン」の呼びかけで、千里NT、高蔵寺NT、筑波研究学園都市が集まり開催。以後、千里NT（第2回）、高蔵寺NT（第3回）の開催に続き、今回筑波研究学園都市で開催されることになりました。
１．基調講演〜ニュータウンを取り巻く状況と筑波研究学園都市、大村謙二郎氏（筑波大学大学院システム情報工学研究科）
１９世紀末から２０世紀初頭、英のハワードによって大都市問題の解決策としての田園都市構想が提唱され、戦後ル・コルビジェなど建築家・都市計画課による実験場としてニュータウンが各地に作られた。
21世紀、人口減少に加え近代家族像の解体、価値観の多様化、コミュニティの変容、生活の質の充実、環境問題への対処、自動車文化の組み直しなどからニュータウンに求められている。
筑波研究学園都市においては万博（85年）から国策によって研究機関が移転されインフラが整ったが、周辺地区との格差、自動車社会の功罪、公務員宿舎など施設の陳腐化が言われている。
最近ではTX開通に伴う乱開発、公的機関の土地払い下げ後の景観問題など本来時間をかけてじっくり行なう必要がある。スローライフ、多様な価値観に対応した土地利用、中根・金田台のような緑・住・農のまちづくりといった付加価値の高いまちづくりが求められる。
世界のニュータウンにおいても同様で、米国のような土地の広い国では街ごと移転する焼畑都市が、また東独のように高密度住宅を公園と低密度の低層住宅に変容している例もある。
２．パネルディスカッション
西神ニュータウン 大海一雄さん〜若いニュータウンで問題が少ない。NPO活動も少ない。震災のときはバックアップ機能を果たした。
泉北ニュータウン 西上孔雄さん 団塊ジュニアの流出。古い地域では「だんじり」祭りがあり流出が少ない。テーマ型コミュニティアを大学生と一緒に行なっている。
千里ニュータウン 奥居 武さん 日本で最初のニュータウン、高齢化・少子化・建替が進む。空き家になっても貸し手が貸したがらない。大阪に近いので民間のデベロッパーの開発圧力が強い。
高蔵寺ニュータウン 福富 洋一郎さん 高齢化・少子化。建替は、行政主体で市民は手が出せない。市民再生委員会が立ち上がった。
筑波研究学園都市 坊垣和明さん 研究機関・大学関係者 2万人。住民意識は希薄。NPO活動はさかん。建替は国の施設で手が出せない。人工的・計画的なまち、反面一度乱れると収拾がつかない。
多摩ニュータウン 富永一夫さん 縁（えにし）の会、ニュータウンを様々な角度で見る。行政区域は、稲毛市、八王子市、町田市、多摩市にまたがる。長池公園の受託で半径３００ｍの顔の見える関係、事務局型NPOが地域には必要。情報発信の基地としてインターネット放送局を準備中。
会場からも空き部屋対策として、千葉海浜ニュータウンの千葉大学が組合を作り、学生に安い家賃で貸し出す手法や建替で定期借地権を付け築80年持つマンション：スケルトン住宅を提案したつくば建築研究会、大学との連携では筑波学院大学の学生を地域の実践活動に参加させ社会力をつけるカリキュラム（１〜3年必修）が紹介されました。
誰かが言っていました。こういうシンポジウムや地域の集まりに参加する人は、まだ救いがある。何にも参加しないで自分一人は「絶対に独居老人にならない」と頑な人が一番危ない。名言です。
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